私立学校をめぐる事件と「改革」

とある大学の理事長が逮捕されたニュースで今週はもちきりだが、合わせて「私立大学にはガバナンスの強化が必要」という議論がメディアを賑わせている。ガバナンス(governance)は、政府(government)と同根だから、通常「統治」と訳されるが、平たく言えば、組織が真っ当に治められている状況のことだろう。学校関係者が、億単位の(さらに言えば、金額の大小にかかわらず)怪しげな金を受け取っていたなどということはあってはならないことだ。


明日、123日に「学校法人改革ガバナンス会議」が文部科学省に対し報告書を提出する予定になっているそうだ。これは一種のセレモニーで、実質的な中身は既に公開されている。そこには、大きな問題があると一人の私学関係者として考えている。きちんと説明するのは簡単ではないので、一つだけポイントを記すとすれば、学校の在り方を決める最高議決機関を評議員会というものに与え、そこには学内関係者は一人も入れないという仕組みにしようとしている。端的に言えば、学校のことを決めるのにその学校の関係者は一人もいない、ということになる。この変更を進める側は既に学校法人と同じように免税の「特権」がある社会福祉法人(保育園や老人ホームなどを運営するところ)と同じだから問題ない、と主張するが、そんなに簡単なことだろうか。


今回考えられていることは、戦後最大の私立学校制度の変更で、私立学校の在り方が大きく変わると言ってよいにも関わらず、市民の間ではもちろん、私学関係者の間でさえ十分に議論は交わされていたとは言えない。メディアの扱いも小さかった。正直に言えば私だって2ヶ月前には何の問題か、分かっていなかった。

現在メディアでは、「ガバナンス改革」はさきほどの某大学の事件のこともあり、私大改革という問題設定で扱われている。実は、私立学校法の改正が必要になるので、今回の「改革」は高校しか持たない学校法人にも、幼稚園しか持っていない学校法人にも必ず適用される。

大学入試改革が、一部の人の議論で進められ混乱をきたしたことを思い出す。「良いことだから、スピード感をもって進めよう」とされたことがどんな結果に終わったか。スピード感より、立場の異なる人ともきちんと議論して結論を出すことが、私学教育の自由を守ると共に、真っ当な組織運営につながると信じてやまない。


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