なぜ空は青い? 夕焼けはなぜ赤い?(物理B)
3年生の選択講座「物理B」では原子や電子といったミクロなスケールで起こる現象を学んでいます。
その中の「コンプトン効果」という現象を学ぶ際、光(電磁波)の「散乱」という現象が知識として必要なのですが、「乱れて散る」と書く散乱のイメージは分かるようで分かりずらい・・
そこで今日は、散乱を実感できる演示実験を行いました。カサ袋にせっけん水を入れて、濁った水にします。
スイッチはオンになっているので、光は出ているはずだけれど、目には見えない
しかし、せっけん水の入ったカサ袋に当てると・・
せっけん水入りのカサ袋全体が輝いている!
ライトの光がせっけん水によって散乱して、光がそこにあることが明白になります!
少し細かいことを言えば、水の中に浮かぶせっけん成分にライトの光がぶつかって散乱し、その光がカメラの方に向かってきているので、「カサ袋が光っている」という認識がもてるのです。
そして、このことは晴れた日の空が青空であることと関係しているのです。つまり、太陽の光が大気中の水分子やその他の分子とぶつかって散乱するとき、太陽光に含まれる青色の光が散乱された結果、青い光に満たされた大気、すなわち青空を見ることになるのです。
さて、写真をもう一回見てください。カサ袋の端が赤くなってなっていませんか?
これが、夕焼けが赤い理由です。青い光よりも赤い光の方が波長が長いので、遠いところまで届きます。ですから、青い光が届かない場所でも赤い光が散乱して赤く見えています。
夕方や朝方は太陽が低いので、大気が太陽光線を通過してくる距離も長くなります。まさに、上のカサ袋の端のように。
カサ袋の真ん中を横から照らすと・・
今度はライトから遠い両端が赤く光っています。やっぱり、光が進んでいく距離が長くなると、散乱する光に違いが生じるのです。
こうやって、自分の目で認識できると理解が進みます。実験自体は簡素なものですが、目に見えないミクロな世界を考える上では欠かせない機会になったはずです。